2017年、市制施行50周年を迎えた八千代市。新興住宅地で新しい街のイメージが強いですが、実は旧石器時代から人々が足を踏み入れていた歴史ある地なのです。それを証明する貴重な資料や展示物が揃う企画展「八千代 三万年の足跡」が、八千代市立郷土博物館で開催されました。担当の阿部勝人さんに解説をいただきながら取材しました。

 館内入口には八千代市内各地の由来、文化財や名所などをパネルによって解説・展示。一枚ずつ読んで眺めるだけでも様々な発見があります。

勝田台駅南口
消防署発足時(昭和42年)
第1回八千代ふるさと親子祭

 企画展へ足を踏み入れると、旧石器時代~古墳時代の本物の土器や石器に目を奪われます。坊山(ぼうやま)遺跡(ゆりのき台の西部)・権現後(ごんげんうしろ)遺跡(飯綱神社に隣接)・芝山遺跡(八千代緑が丘駅の北側)からは旧石器時代の石斧。佐山貝塚(佐山)・上谷(かみや)遺跡(保品)からは縄文土器。栗谷(くりや)遺跡(保品)やヲサル山遺跡(萱田)からは弥生時代の壺・鉢・勾玉等が出土。ほとんどが新川近辺で出土しており、人々が暮らしを営んでいたことが分かります。また、奈良・平安時代の墨書土器には「村神郷」と書かれており、村上という地名がその時代から存在していたことが明らかになりました。

上谷遺跡から出土した墨書土器

 八千代市の由緒あるお寺・正覚院(村上)には鎌倉時代の文化財が多数保管されており、おしどり伝説も残されています。戦国時代には村上綱清という武将がおり、米本城主として太田道灌(どうかん)と戦ったとの伝説が残っています。
 八千代を象徴する新川には長い歴史があり、川があるからこそ人が行き交い栄えていたそうです。日本でも早い段階で鉄作りの文化を取り入れた地でもあります。新川は元々は古川という川で、江戸時代に印旛沼堀割普請(ほりわりふしん)によって整備され始め、245年という時を経て、昭和44年に現在の姿になりました。
 「新川沿いを歩く時、その歴史を知っているとまた趣が違ってきますよね。今回の企画展示には、普段眠っている指定文化財が多数展示されています。是非この機会に八千代市の歴史と魅力を多くの方に知っていただきたいですね。ご要望があれば繁忙時以外は解説も承ります。」と阿部さん。
 そして江戸時代に市域の25カ村が様々に変遷され、八千代町、そして八千代市になるまでを知ることができます。

江戸時代の印旛沼周辺の絵図(企画展・常設展)
八千代町を八千代市とすることについての申請書と、市制施行了承書

 尚、企画展終了後も、常設展で八千代の歴史に触れられます。はく製やジオラマ・絵図や古文書などを使い、新川周辺の歴史や、日本初の住宅団地の造成・工業団地の誕生について、今に伝わる祭礼や儀礼なども紹介されており、見ごたえがあります。昭和の暮らしコーナーでは、昭和の部屋を再現しており、「懐かしい」と涙を流す人もいるそう。
 身近な地の深い歴史と数々の展示物に、本物からしか得られない驚きと感銘を受けること請け合いです。

昭和40年代後半の村上小学校と村上遺跡(現村上団地) (企画展)
懐かしい「昭和の暮らしコーナー」(常設展)

【所在地】八千代市村上1170-2
【開館時間】9時〜16時30分
【入館料】無料
【駐車場】有
【アクセス】・東葉高速鉄道「村上駅」より徒歩10分
・京成本線「京成勝田台駅」南口より東洋バス米本団地行きで「市営住宅前」下車、徒歩2分
・京成本線「京成八千代台駅」西口、または東葉高速線「八千代中央駅」より
東洋バス米本団地行きで「郷土博物館」下車、徒歩1分
【休館日】月曜日(祝・休日は開館、翌平日休館)、年末年始
【お問合せ】☎047-484-9011
【HP】https://www.yachiyo.ed.jp/yachiyo/sosiki/rekisi/

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