旧川崎銀行の建物を活用した美術館

レトロなレンガ造りの外観

 大正時代に建てられた旧川崎銀行佐倉支店(千葉県指定有形文化財)をエントランスとして活用している佐倉市立美術館。
レトロな西洋風のレンガ造りの外観が目印です。
内部は大理石でできた市松模様の床が印象的な華やかな空間で、大正時代にタイムスリップしたような気分になります。エントランスを抜けて新館に入ると、天井まで吹き抜けの階段が目に入ります。
吹き抜けには天井から吊るされた巨大なオブジェが設置されています。(よく見ると動いている)
 そんな佐倉市立美術館では一つの作品をグループで対話しながら鑑賞する「ミテハナ鑑賞会」が開催されています。
美術館で堂々と話をしながら鑑賞するなんて新鮮!
私も体験してきました。

空宙モヌメント 燦(さん)(高橋秀)

言語化することによって記憶に残る作品になる

 美術館というと一人で落ち着いて見て回りたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで質問です。
直近で行った展覧会の作品をいくつ思い出すことができますか?
細部まで鮮明に覚えていますか?
ミテハナ鑑賞会は周りの人と一緒に作品をじっくり見て、感じたことや発見を共有することで、作品の細部まで記憶に残ります。
作品を見て感じたことに正解や不正解はありません。
アートって敷居が高くてよくわからない…という方にもおすすめのプログラムです。

ボランティアスタッフ鑑賞コミュニケーター

 ミテハナ鑑賞会を進行するのは鑑賞コミュニケーター「ミテ*ハナさん」というボランティアスタッフです。
美術館×アート作品×人との出会いをコーディネートしてくれます。
県外在住のミテ*ハナさんもいます。
取材当日お話を伺ったミテ*ハナさんは「定年退職後に趣味を探していたところ、この活動を知り、参加し、今では様々な世代の方との交流が楽しみで毎回気合が入ります。」とおっしゃっていました。
※「ミテ*ハナさん」は不定期で募集。

子供の想像力を養う

じっくりと見てはじめて気がつくことがあります

 ミテハナ鑑賞会は小学校の授業の一環としても行っており、依頼があれば市外の学校へ出向いて出前授業を行うこともあります。
今回は9月24日まで開催されていたjunaida展「IMAGINARIUM」の作品を佐倉小学校の4年生と一緒に鑑賞してきました。
 いくつかのグループの鑑賞会を見学したのですが、子供の想像力・観察眼ってすごいな…の一言。
大人になって思考が固まると、よく見れば見えるものも見えなくなってしまうのか…と思い知らされました。(視覚的な意味でも)
来た時はあまり興味がなさそうだった子も、帰る頃にはしっかり何かを掴んだような顔をしていたのが印象的でした。
子どもたちには思い出に残る授業になったことでしょう。
 ミテハナ鑑賞会の開催スケジュールはホームページをチェックしましょう。

編集者あとがき

ガレージライブラリー
 道路に面しているので目に入ります

 美術館1階の駐車場跡地が、今年7月に「ガレージライブラリー」としてオープンしました。
置いてある本を自由に持ち帰ったり、皆に読んでほしい本を置いて行ったりできるそうです。
美術鑑賞以外にも、どんな本があるのか探しに行ける楽しみがあるのは面白いですね。
世代を問わず来館者をワクワクさせる取り組みに力を入れているのが伝わってきました。
※美術館来館者は、美術館向かいの「夢咲くら館」駐車場を利用できます。

佐倉市立美術館

【住所】佐倉市新町210
【開館時間】10:00-18:00(入館は17時30分まで)※詳細はHPをご確認ください
【休館日】月曜日(祝日の場合はその翌日)
【問い合わせ】043-485-7851
【HP】
佐倉市立美術館ホームページ
ミテ・ハナソウホームページ

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