佐倉城址公園に隣接し、国立歴史民俗博物館が管理運営を行う施設「くらしの植物苑」。1995年に開苑し、古代から現代まで人が関わり、衣食住の中で利用してきた様々な植物を「染める」「食べる」「治す」「織る・漉く」「道具をつくる」「塗る・燃やす」の6つのテーマに沿って育て、研究した成果を展示しています。それぞれのゾーンで身近に利用されてきた植物が大切に植栽されていて、興味深さも増します。
苑では年間4つの 伝統植物を季節に合 わせて展示しています。春は「桜草」、夏は「朝顔」、秋は「菊」、そして冬は「サザンカ」が様々な彩や姿で来苑者を迎えます。

 これからシーズンを迎える朝顔は9月中頃まで次から次へと別の品種が花を咲かせていくので、訪れるたびに違う種類の花が鑑賞できます。朝顔は、江戸時代以降繰り返しブームが起こった、人々に愛され続けている植物です。
「展示されている朝顔は、色、形、葉の形や模様から学問的な名前がつけられています。長くて難しく感じられる名前ですが、特徴を的確に表現しています。」と担当の青木先生。
7月下旬〜9月中旬に開催される「くらしの植物苑特別企画 『伝統の朝顔』」では、突然変異から生まれた 珍しい変化朝顔が展示される予定です。その他、素朴で親しみのある姿の花から、美しく変化してきた花まで、様々な色、形を楽しむことができます。

青斑入桔梗渦蜻蛉葉白地赤吹掛絞桔梗咲
 (あおふいりききょううずとんぼばしろじあかふっかけしぼりききょうざき) 
青斑入桔梗渦蜻蛉葉白地赤吹掛絞桔梗咲
 (あおふいりききょううずとんぼばしろじあかふっかけしぼりききょうざき) 

「くらしの植物苑」の国立歴史民俗博物館 研究部民俗研究系准教授
青木 隆浩さんにインタビュー

くらしの植物苑。苑内には様々な植物が栽培されています

青木先生は、国立歴史民俗博物館では主に民俗学の研究を、くらしの植物苑では展示の企画を担当されています。

—どのようなお仕事をされていますか?
大学院では地理学を研究していましたが、ここでは民俗学的な立場から酒造業や禁酒運動の研究などをしています。そして植物苑では年4回の特別企画のプラン二ングやコーディネートを行っています。

—くらしの植物苑でのお仕事のやりがいはどんなところにありますか?
季節の伝統植物の展示プロジェクトを手がけており、4回の企画についてそれぞれ植物学や歴史学の専門家から意見を伺い、テーマを見つけるところからまとめるまでの展示を構成していけることです。また、展示の反響も大切ですが、貴重な品種の維持をすることができるところが興味深いです。

—くらしの植物苑を訪れる方へのメッセージをお願いします。
同じ種類でも季節によって咲く花が変化します。開花の時期に合わせてお越しいただくと、そのたびに移り変わりを感じられると思います。毎年来苑してくださる多くの固定 ファンがいらっしゃいますが、これから訪れる方にもそんな変化を楽しんでいただければと思います。また月末土曜日の午前中には苗の販売もありますので、ぜひご利用ください。

くらしの植物苑特別企画「伝統の朝顔」
【開催期間】例年7月下旬〜9月中旬
【開苑時間】9時30分〜16時30分(入苑は16時まで)
【休苑日】月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
【入苑料】個人(高校生以上)100円、団体(20名以上)50円
※小・中学生は入苑無料(土曜日は高校生も無料)
※身体障害者手帳等保持者は介助者と共に入苑無料
【HP】https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/plant/index.html

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