2021年1月10日夕刻どき。印西市で白鳥が見れる場所がある、と噂で聞き、本埜の田んぼの中を車で彷徨っていました。田んぼと夕日の美しいコントラストに酔いしれていると、停車した車と人だかりのある通路を発見。車を降り、耳をすませると鳥らしき鳴き声が聞こえてきます。目的地の白鳥の郷だとわかりました。
 「白鳥の郷」と書いてある掲示板の後ろの田んぼには、数えきれない数の白鳥が泳いでいます。静寂の中でクオークオーという鳴き声だけが響き渡り、まるでここだけが異空間のようでした。
 等身大の白鳥の模型や、本埜白鳥を守る会の方のメッセージなども展示されており、地元民が白鳥たちを大切に思っていることが伝わってきます。

2021年1月1月10日の様子

飛来した6羽の白鳥

平成4年11月14日。印西市本埜地区で、農業用排水路工事のために水をはっていたある田んぼに、6羽の白鳥が舞い降りました。当時、千葉県鳥獣保護員だった出山光男さんは、この地に留まって欲しいと毎回同じ服装で、朝昼夕と1日3回の餌付けを試みました。「難しいのでは」という声もありましたが、翌年は12羽、翌々年は23羽と毎年飛来数は増え続け、平成23年には1380羽と最多数の白鳥を数えました。

引き継がれた出山さんの意志

本埜白鳥を守る会の皆さん

 平成11年に亡くなられた出山さんのご意志は、「本埜白鳥を守る会」を中心に多くの人に引き継がれています。
 そのひとつは本埜第二小学校の児童たち。白鳥の餌にするために、稲刈りの後に実をつける二番穂を児童全員で摘み取る作業を学校行事としています。
本埜小学校では児童たちが毎年飛来した白鳥の数を数えており、随時HPにて飛来状況を更新しており、学校全体で白鳥を迎える気持ちを高めています。
本埜小学校白鳥飛来情報ブログ→http://inzai.ed.jp/motono-e/?page_id=73

 現在は出山輝夫さん(光男さんのご子息)が、毎年白鳥のために同じ田んぼに水を張って、毎年同じように餌やりを続けていらっしゃいます。
出山さんに最近の白鳥の様子をお伺いしました。
 「昨日朝早く、白鳥たちが慌てて飛び去っていったようで、朝6時に餌やりにきたらもう一羽もいなかった。田んぼの水の中に、一羽のカモの死骸があったんだよね。たぶんタカが来てカモを襲って食べた後に田んぼに放り投げたんじゃないかな。夕方になって数羽が様子を見に上空を旋回していたけど、餌を食べに降りて来なかったんだ。白鳥は本当に警戒心が強い鳥なんですよ。」
 見物客が歩く道路に消毒のための石灰をまいたり、『犬は離さないで』という看板を立てたりと、できる限りの注意を払って白鳥たちを見守っているのが印象的です。

白鳥たちはどこに行く?

 白鳥たちは11月〜3月にかけて越冬のため白鳥の郷に滞在し、栄養をつけ、春一番の南風に乗ってシベリアに帰って行きます。白鳥たちが毎年シベリアからここに戻ってくるのは、農薬を使わず自然が残る田んぼであることを知っているからでしょう。そんな白鳥の郷は現在では日本第二位の白鳥の飛来地となっています。

一斉に飛び立つ白鳥

白鳥を間近で観察

大きく翼を広げる白鳥

 白鳥たちが飛び上がる様子は格別。広い大空に力強く舞い上がり、大きな羽でぐんぐん加速して飛んでいく姿は、日常では見ることのできない、まさに自然そのもの!白鳥はグループで飛行している場合が多く、上空から三・四羽が同時にふわっと水面に舞い降りるたび、「おお〜」という声があがりました。
 水面では悠々と泳ぐ白鳥もいれば、翼を大きくバタつかせたり、他の白鳥や鴨にちょっかいを出したりするものもいたりとイメージとは裏腹にアクションが多く見ていて飽きません。
自然の白鳥の姿を間近で観察できるのも、「本埜白鳥を守る会」の方々の努力のおかげですね。

 週末には活動資金調達のため甘酒や雑魚の販売も行っています。白鳥たちが羽を休めているのは3月まで。白鳥が餌を求めて多く集まる朝夕がおすすめです。

本埜白鳥の郷
【住所】印西市笠神1745
【時期】11月〜3月(ペット厳禁)
本埜小学校白鳥飛来情報ブログ→http://inzai.ed.jp/motono-e/?page_id=73
※白鳥が驚いて飛んで行ってしまわないように、静かに観察しましょう
※道が複雑ですので、夕方に訪れる際は暗くなる前に帰りましょう

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