【千葉市】見る、知る、伝える千葉 創作狂言プロジェクト

千葉弁を取り入れた狂言舞台
 「見る、知る、伝える千葉 創作狂言」とは千葉大学・NPO法人フォーエヴァー(※)・公益財団法人千葉県文化振興財団が千葉県民の参加者と連携し、創作狂言を上演するプロジェクトです。千葉にまつわる神話・民謡・風習を題材に、千葉の御国言葉(千葉弁)を取り入れた千葉づくしの狂言舞台となっています。
 年に一度の公演となっており、今年は3年前から公演されている「創作里見八犬伝」シリーズの其ノ参(エピソードスリー)。「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)ってなんだ」をテーマに、一味も二味も違う八犬士の物語が演じられます。どのようにしてこのようなプロジェクトができたのでしょうか。稽古の現場に直撃してきました。
(※)NPO法人フォーエヴァー…千葉を中心として、生涯学習に関する事業を行い豊かな地域文化の創造に寄与することを目指す団体。

稽古の現場では
 大学生から年配の方まで幅広い年代の方が稽古に取り組んでいました。取材時はメインの八犬士達が再会するシーンの稽古中で、細やかな所作と発声のタイミングを全員で合わせることに苦戦していました。講師の狂言師の小笠原匡(ただし)先生の指導のもと、狂言教室「若菜の会」の生徒さんを先導に、ディスカッションを交わしながら舞台が作られていきます。千葉大学の生徒も舞台班(役者)、道具班(衣裳・小道具)、展示班、広報班と分かれ運営に深く関わっており、若者たちのエネルギッシュさが稽古現場から伝わってきました。ワークショップの参加者たちは皆千葉県民で、即興で変化していく台本を必死に追いながら一生懸命声を張って取り組んでいました。

昨年の公演の様子

プロジェクトのきっかけ
 講師の小笠原先生は千葉大学の客員教授でもあり、普遍教育展開科目「伝統文化をつくる」という千葉大学独自の授業を行っています。狂言脚本や伝統芸能を少し違う切り口で学ぶことができる「狂言を一から創っていく」課題を行っており、千葉県文化振興財団と共にこのプロジェクトを立ち上げました。

県民参加型ワークショップ
 ワークショップの役者は毎年8月頃に募集がかけられ、小学生以上の千葉県民であれば、どなたでも参加が可能です。「狂言や舞台が好きで舞台裏が気になって参加した。」「一度舞台に立ってみたかった。」という方が多く、中には4回目の参加者もいました。プロの狂言師から直接稽古が受けられるチャンスです。興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか。

小笠原匡講師より
 千葉は私の第二の故郷だと思っています。本公演を見て千葉に伝わる伝承を学び、再発見し、古臭くて難しいイメージのある狂言に楽しい学びがあることを知れる一石二・三鳥もある本プロジェクト。是非多くの方に見ていただきたいと思います。

  ※   ※   ※
 職業も年齢も違う幅広い世代が一同となって作り上げるこのプロジェクトを通して、千葉県の新たな発見と日本文化の見聞を広めるきっかけになることを期待しています。(うき実)

講師 プロフィール

小笠原 匡(おがさわら ただし)
能楽師和泉流狂言方
重要無形文化財総合指定保持者
(社)日本能楽会会員
(公社) 能楽協会会員
千葉大学客員教授。フランスにて日本の伝統芸能の普及活動を実施している。
【HP】https://www.atelier-oga.com

おすすめの記事