生活提案型の呉服店

かつてはお嫁入り道具として誰もが一着は所有していた着物。
フォーマルシーンの洋装化にともない、カメラやゴルフと同じように、好きな人がお友達同士で嗜む嗜好品となりつつあります。
洋装化により着物産地の縮小が進み、このままだと永年培われた職人の技術が失われてしまいます。
このことに危機感を持った呉服・和装業界では、呉服需要の回復のために「着物の着方の普及」「着用シーンの紹介」「お手入れや保管の提案」などの活動をおこなっています。

 勝田台駅から徒歩5分のところにある「呉服専門店 武蔵屋」は東京中野本店の開店から、11月で創業88年を迎えました。(勝田台店は開店42年)
「和装の文化に触れられる場所で あるとともに、着物や和のある生活スタイルを提案することをコンセプトに掲げています。和装小物や雑貨、インテリア、家具も扱う生活提案型の着物屋さんです。
最近では、店内の設えを活かしたロケーション撮影もおこなっています。」と勝田台店店長の榎戸さん。

着物の悩みに寄り添う

  武蔵屋では着用シーンが増える時期に合わせ「着付け教室」や衣替えの季節に合わせ「着物・草履お直し相談会」が開催されており、年間を通して着物のお悩みごとに寄り添える体制を整えています。

自分の着物を自分で着られるように

 (榎戸さん)かつての日常着であった着物は、誰でも集中して取り組めば着られるようになります。
最近、着付け教室の中には、練習する着物や帯のレンタルや手ぶらで通える道具の預かりサービスを行っているところもありますが、着方の技術の習得のためにはご自宅での復習や受講終了後の継続した着用が欠かせません。
武蔵屋の「きもの着方教室」では自分の着物を自分で着られるようになることを目指し、週1回全10回の講座を、短期集中で開講しています。
レンタルや預かりサービスなどはあえておこなっておらず、回数が進み自信がついた人には着物で通っていただくこともおすすめしています。

きもの着方教室

 今回は「きもの着方教室」の第6回目の受講風景を見学 させていただきました。
6回目は、名古屋帯の仕上げで時間がかかりながらも皆さん 自分で最後まで着られるようになっているようで、講師1名と生徒3名で、帯結びのコツやポイントを習得しようと和気藹々と取り組まれていました。

 最初は覚えるのに必死で、自分が一番下手なんじゃないか…と、不安になる方もいらっしゃるそうですが、教室は経験者・未経験者問わず同じペースで進むので、置いていかれることはありません。
 中には姪っ子さんの結婚式に向けて一日だけ袋帯の着方を習いに来ている方もいらっしゃいました。(袋帯は、お祝い事が重なることを願い、「太鼓」と呼ばれる背中に背負う部分を二重にして結ぶ、フォーマルな帯。名古屋帯は簡略化され短いため、一重にしかならないカジュアル用の帯)
ご自宅でも練習をされているようで、しっかり一人で着られていました。
目的があると上達も早いようです。

7回目の受講後には写真撮影と有志でランチに行きます。

編集者あとがき

 筆者は恥ずかしいぐらい着物の知識が全くなかったのですが、丁寧に色々教えてくれたのが嬉しかったです。
 着物をまとった生徒さん達の姿勢は自然とシュッと伸び、皆さんスタイルがよく上品に見えました。
着物を着た日は汚さないように、おかしくないように、所作や言葉遣いに自然と意識が向きますよね。
身にまとうものを大切にするということは、自分を大切にすることでもあり、周りも自分を大切に扱ってくれることに繋がると思いました。
 12月には1DAYの体験教室が、1月にはきものお直し相談会が開催されます。
年末の大掃除にはタンスにしまってある着物を久しぶりに取り出して、武蔵屋に訪れてみてはいかがですか?
来年は和の装いで、活動や趣味のフィールドを広げてみましょう。

呉服専門店 武蔵屋

【住所】佐倉市井野1558-57(駐車場20台)
【営業時間】10:00〜18:00
【定休日】水曜日・年末年始
【電話】☎0120-91-6348
【HP】呉服専門店 武蔵屋ホームページ

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