【成田市】梅を愛でながら書も味わう「成田山書道美術館」

 成田山新勝寺をとりまく自然豊かな成田山公園。平均樹齢50年の梅の木が五百本も植えられ、2〜3月は清楚な花々とともに甘い香りを漂わせます。香りの強い黄色い花の蝋梅(ろうばい)から開花し、紅梅と白梅が続き、2月からの梅まつりを楽しみに、毎年多くの観光客が訪れます。
 公園を歩み進めると、龍智の池の北側に書道美術館が見えてきます。2階建てで石を配した外観は公園の木々によくあっています。

書道美術館

 館内に入ってすぐの吹き抜けの広いホールには、真正面に中国・唐の玄宗皇帝が山東省泰山山頂の岩壁に碑として削った「紀泰山銘」の美しい漢字千字が並び、圧巻です。館内には所々にソファもあるので、しばし書の世界に包まれるよう。

紀泰山銘

 戦後の書は戦前とは何が違うのか、学芸員の山﨑さんにお話を伺いました。
「戦前の書は人々のたしなみの一つで実用的なものでした。戦後は筆を持つ機会が減るなか、書家達が書の美しさを極め芸術として高めようという動きがあり、昭和23年の日展で初めて『書』の分野ができました。その後は実用的な文字の美しさの追及と共に、多くの人々に興味を持ってもらえるような作品を創り、芸術として発展してきたのです。」

「夢幻」新井光風(1937〜)
「識字憂」青山杉雨(1912〜1993)
山頭火句「まったく雲がない」中野北溟(1923〜)

―芸術性のある書の特徴は?
「表現方法の多様性です。戦前は掛け軸や巻物、屏風に書くのが定番でしたが、戦後は絵画のように額に入れ特徴的な一文字で表現したり、紙の色を替えたり、と単なる文字だけではない幅広い表現方法を使っています。この展覧会では、毎年開催される『現代書道二十人展』に選ばれたことのある作家の作品を、所蔵のなかから選んで展示しています。」
力強い大きな作品とは対照的に、繊細な筆遣いで古今和歌集などの古典を表現している作品もあり、書道の幅の広さを感じることができます。

成田山書道美術館
【場所】成田市成田640(成田山公園内)
【休館日】月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日、また展示替期間は休館)
【入館料】大人500円、高・大学生300円、小・中学生無料
【アクセス】JR「成田」駅・京成線「京成成田」駅徒歩25分またはタクシー
【お問合せ】☎0476-24-0774
【HP】https://www.naritashodo.jp

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